【天然繊維】植物繊維・動物繊維
植物繊維
綿・コットン(cotton)
綿は綿花と呼ばれる綿の木になる実から採取した繊維で、その繊維の形状は押しつぶされた管状で、中は空洞になっている。
柔らかく、肌触りがよい。
丈夫で吸湿性が高く、毛羽のないクールな感触が夏物に適しているが、伸縮性に乏しいため、編み地はしわになりやすく、形がくずれやすい。
また洗濯すると縮む欠点もあるが、整理仕上げ加工の工夫などで改善できる。
麻・リネン
麻は茎または幹の部分から得られる繊維で、独特のしゃり感、涼感、光沢をもち、速乾性に優れた素材である。
弾力性が乏しいため、しわになりやすい。
麻の糸は少なく、綿や化学繊維との混撚糸が多く作られている。
動物繊維
絹(silk)
絹は蚕の繭から作られる繊維で、繭には家蚕繭と野蚕繭がある。
他の繊維にはない独特の光沢があり、しなやかで、ドレープ性もよい。
吸湿性に優れ、肌触りがよく保温性に富んでいる。
これらのことから保健衛生的機能が高いといえる。
反面、太陽光に弱い、摩擦に弱い、しみができやすいなどの短所をもつ。
羊毛・ウール(wool)
羊毛は羊の毛からとれる繊維で、人間と羊の結びつきは非常に古く、紀元前5000年以上昔に中央アジアで家畜として飼育されていたことに始まる。
衣料用繊維として古くから使われている。
現在羊の種類は約3000種にものぼるが、衣料用素材としてはメリノ種と英国種系の二つに大別される。
羊毛は次のような、他の繊維には見られない特徴をもっている。
【羊の種類】
●メリノ
●サウスダウン
●チェビオット
- 繊維がうろこ状のスケールで覆われ、よじれていて、クリンプ(スプリング状の捲縮) と呼ばれている。
- 保温性が大きい。
クリンプがあるので弾力性に富み、嵩高性(バルキー性)が高く、空気をたくさん含む。 - 吸湿性、撥水性がある。
相反する性質は繊維表面のスケールに起因していて、衛生面に優れ、水をはじくので汚れにくい。 - しわになりにくく非常に弾性が高い。
またスチームアイロンなどで蒸気や熱を加えると一定の型にセットされる。
ただし、この場合永久的なセットにはならない - フェルト化する。洗濯などで強くもみ合わせるとスケールが絡み合い、収縮し、縮絨する。
一度フェルト化すると元には戻らない。
洗濯に耐えうる素材として、防縮加工の糸などが開発されている。
その他、燃えにくい、染色性がよい、などの特徴をもっている。
獣毛
モヘア(mohair)・アンゴラ山羊
【主な産地】
●トルコ
●南アフリカ
●アメリカ
特徴
- 色は白で光沢があり、滑らか
- 生後一年以内の毛はキッドモヘアと呼ばれ繊維は細く、さらにしなやか
- 糸にコシがあり、張りがある
- ファンシーヤーンとしても使用される
- 縮まない
- 羊毛との混用が多い
カシミヤ(cashmere)・カシミヤ山羊
【主な産地】
●中国
●モンゴル
●イラン
特徴
- 繊維は非常に細かく柔らかで、保湿性、弾力性に富む。
- 繊維が弱く毛玉ができやすい。
- 天然色は茶・黒・灰色などが多く、白は産出量の約10%。
- 高価
キャメル(camel)・双峰種のラクダ
【主な産地】
●イラク
●中国
●モンゴル
特徴
- 柔らかで軽く保湿性もいい
- 色は茶褐色が一般的
- 染色性が悪い
アルパカ(alpaca)
【主な産地】
●ペルー
●ボリビア
●チリ
●アルゼンチン
特徴
- なめらかで光沢がある
- ウールとヘアー両方の特性を持つ
- 強さに優れフェルト化しない
- 保湿性がよい
- 色が天然色で20色くらいある
ビキューナ(vicuna)
【主な産地】
●エクアドル〜アルゼンチンの南米地域
特徴
- 生息頭数が少なく、保護動物扱い
- 毛は天然繊維の中で最も細く柔らかい
- 家畜化が難しいので非常に高価
アンゴラ(angora)・アンゴラうさぎ
【主な産地】
●中国
●フランス
●チェコスロバキア
●南米地域
特徴
- 柔らかく、軽くて保湿性に富む
- 染色性に優れている
- 抜け毛、飛毛が発生しやすい
- ウールやその他の繊維と混用されて用いられることが多い
- 強度が他の獣毛に比べてやや劣る